気配を描く  2020年8月

お盆が過ぎると北海道は急に秋の気配が漂ってくる。草むらで鳴く虫は秋の声をし、朝晩の空気は明らかに夏のそれとは違う。森の緑はやや黄色味を帯び始め、ふと気づけばススキの穂が開き始めている。まるで短過ぎる夏の終わりを告げているかのようだ。

天気も不安定になる。午後になり突然雨が降ったかと思えば晴れ上がり大きな虹がかかる日が多くなってくる頃だ。朝焼けや夕焼けもよく見られるようになり、空が高くなってきているのを実感する。それは自然の気配のようなものだから、実際には目には見えない。その目には見えないものをどうすれば写真に写し取ることができるだろう。そんなことを日々考えている。

十勝岳連邦を超えてこちら側へ雲が降ってくることを滝雲という。この現象は天気が悪くなるサイン。まさに自然の気配だ。僕はNDフィルターを使って長い時間をかけることで空気の流れという気配を描き出した。

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中西敏貴:Signs – 風景に潜む気配​