蒼き峰  2020年2月

大雪山と名の付けられた山々に囲まれて暮らしている。まだ暗いうちに目を覚まし、部屋の窓から山を見ると、ぼんやりと闇の中に蒼い峰が浮かんでいることがある。まだ鳥のさえずりさえも始まっていないのだから、きっとまだ夜というのだろう。しかし、確かに僕の目には山々が確認できる。明瞭ではないが、間違いなくそこに存在している。

そのぼんやりとした様相をイメージとして定着してみることにした。秒単位の時間が流れると、印象的な映像が液晶モニターに映し出される。ブルーモーメントの中に、しっかりとした輪郭を有した山が浮かんでいる。それはまるで、海に浮かぶ孤島のようだ。

地球規模の造山活動によって生み出された峰々の様相を、この30秒で写し取ることはできないけれど、その気配だけでも立ち上がらせたい。今は、そんなことを考える日々が続いている。

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中西敏貴:Signs – 風景に潜む気配​