ダイヤモンドダスト  2020年1月

命の源。その一つが水だろう。風景というものに関わっていると、どんな季節でも水の存在を感じざるを得ない。視覚化された雨や川といったものだけではなく、時にはビジュアルとしては目に見えない水蒸気として、いつもそこに存在していることを感じるのだ。当たり前すぎてその存在を意識しないことが多いが、水無くしてはこの美しい風景は存在し得ない。その水がひときわ存在感を発揮するのが冬という季節だ。

氷点下20度前後にもなると、空気中に漂っていた水蒸気すら凍りつく。それまで目には見えなかった存在が、凍りつくことによってその存在を主張し始めるのだ。そう、ダイヤモンドダストだ。空気中をフワフワと漂うように舞うその姿は、まるで冬の妖精。捉えどころのなかった水という存在が、一年で最もきらびやかな装飾をまとう瞬間と言えるだろう。時には虹色に彩られることもあるこの現象は、厳冬期のわずかなチャンスにしか見られない。

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中西敏貴:Signs – 風景に潜む気配​