Uttakleiv (Lofoten, Norway) / Canon 5D Ⅲ, Canon 11-24mm @11mm, f/18, ISO: 100, SS: 101秒, 180mmホルダーND1000GND8

Uttakleivの笑顔 – ノルウェー・Uttakleivビーチ

前景はあくまでも引き立て役である

これはノルウェーのロフォーテン(Lofoten) 諸島で有名なUttakleivビーチだ。非常に人気のある撮影スポットである。何故なら雄大な山の峰を背景に、前景が多様で、無数の創作空間を秘めているからだ。しかし、インパクトのある前景を探すには、工夫が必要だ。

この作品でまず目を引くのは「笑顔」の潮だまりである。低い角度からの撮影で、潮だまりの距離がレンズから近いため、広角レンズによる遠近感の歪みにより、近景にあるものはより大きく、遠景にあるものはより小さく、遠くにみえるため、実際よりもその距離が延長される。風景撮影では、この広角レンズの歪みを利用し、ある要素、特に前景を効果的に強調することができる。前景の潮だまりを画面いっぱいに収め圧迫感を出すことで、見る人の視線が釘付けになる。撮影角度は低いが、地面に近すぎると逆に前景の形を縮めてしまうことになる。

構図の完璧な作品には、視線の流れと連続性が必要であり、この作品ではいくつかの要素によって視線の流れを繋げている。第一は潮だまりで、一瞬で見る人の視線を捕らえる。第2に、中景の三角形を形成する3つの石が、視線を山脈へと導く。最後に、ND1000を使用して捉えた雲の軌跡が、再び見る人の視線を空へと誘う。

ND1000で撮影した雲が動感を出し、静かな風景に対して動と静のコントラストを形成している。また、2つの色温度の違う「面」があり、寒色の雪と暖色の空が、写真の奥行きと立体感を出している。この作品で、私は遠くの山の峰を主役とした。なぜなら、この土地を代表するシンボルであると考えたからだ。広角レンズのパースを利用して強調した前景が主役になってしまってはいないだろうか?前景はあくまでも引き立て役であり、それ自身は、この景勝地を代表するような特別な存在ではない。

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